新型アトレー:残念と感じた5つの理由【購入前に知っておくべき注意点】

ダイハツ

新型アトレーを検討中の方に向け、本記事ではダッシュボードやシートの安っぽい内装、荷室奥行きやドア開閉角度の狭さなどを解説。

さらにWLTCカタログ値を下回る実燃費、エンジン音やロードノイズによる振動、衝突回避支援システムやアダプティブクルーズの性能不足といった5つの残念ポイントを詳述。

さらにオプションで変動する価格、年間維持費の見積もり、リセールバリュー傾向も解説し、後悔せずに選ぶための注意点を提案します。

理由1 内装の質感にがっかりするポイント

商用バンとしての機能性を優先した結果かもしれませんが、新型アトレーの内装は乗用モデルと比べて高級感に欠ける質感が目立ちます。

素材感や仕上げの粗さは、見た目だけでなく長期使用時の耐久性や快適性にも影響を及ぼすため、購入前にしっかり確認しておきたいポイントです。

ダッシュボード素材の安っぽさ

ダッシュボード全体に採用されたのは、凹凸の少ない硬質プラスチック。

触れたときの手応えは薄く、光の当たり方によってはテカリが目立ってしまいます。

項目 新型アトレー スズキ エブリイ ホンダ アクティ
素材 硬質プラスチック ソフトパッド+硬質樹脂 ソフトタッチ樹脂
表面仕上げ マット調の凹凸なし 微凹凸仕上げ 細かいテクスチャー加工
耐久性 表面キズが目立ちやすい キズ防止コーティングあり 耐擦傷性に優れる

上表のとおり、ライバル車と比較するとクッション性や表面加工の有無で劣り、見た目の質感だけでなく触り心地にも差が生じています。

シートのクッション性不足

運転席と助手席に採用されたシートはパッドが薄く、長時間ドライブでお尻や腰に負担がかかりやすい構造です。

特に舗装の荒れた路面では振動が直接伝わるため、疲労感が早く訪れます。

車種 パッド厚 表皮素材
新型アトレー 約30mm 合成皮革(PVC)
スズキ エブリイ 約45mm 撥水ファブリック
ホンダ アクティ 約40mm ウレタンフォーム+ファブリック

合成皮革は汚れに強い一方で通気性が低く、長時間座るとムレやすい点もマイナス要素です。座面が硬いと感じる方は、オプションや市販のクッションを検討する必要があるでしょう。

理由2 実用性を損なう新型アトレーの狭い荷室と乗降性

理由2 実用性を損なう新型アトレの狭い荷室と乗降性

image:ミニバンラボ|MINIVAN LAB

軽商用車として求められる積載性と乗降性が、新型アトレーでは期待を下回る結果となっています。

実際の使い勝手に直結するポイントを詳しく見ていきましょう。

荷室の奥行きと高さの不足

新型アトレーの荷室サイズは、軽商用モデルの中でもややコンパクト。

長尺物や大きな段ボールを積む場合に積載量が制限され、商用ユースでの効率を落とします。

モデル 荷室奥行き 荷室高さ
新型アトレー 約1,100mm 約1,190mm
スズキ・エブリイ 約1,180mm 約1,250mm
ダイハツ・ハイゼット 約1,160mm 約1,220mm

比較すると、エブリイやハイゼットが荷室奥行きを80mm以上広く確保しており、新型アトレーは実用性で一歩劣る印象です。

乗降時のドア開閉角度が狭い

乗降性も見逃せないポイントです。

新型アトレーのスライドドアは最大開閉角度が約70°にとどまり、荷物を抱えたまま乗り降りすると動線が窮屈になります。

一方、エブリイやハイゼットは同80°以上開くため、荷物出し入れ時のアクセス性が良好。

乗降性を重視する現場では、この差が毎日の作業効率に大きく影響します。

また、ステップ高が約500mmとやや高めに設定されており、頻繁な乗り降りでの負担増加が懸念されます。

理由3 燃費が公称値を下回る実燃費

理由3 燃費が公称値を下回る実燃費

image:ミニバンラボ|MINIVAN LAB

WLTCモードと街乗りでの差

新型アトレーーのカタログ上のWLTCモード燃費は20.0km/Lと公称されています。

しかし、実際の市街地走行ではエアコン使用や信号待ち、ストップ&ゴーが多いため、

実燃費は公称値の約73%にまで低下し、平均で14.5km/L前後に留まるケースが多数報告されています。

特に立体駐車場への登降や荷物満載時には、さらなる燃費悪化が見られます。

走行条件 公称燃費(WLTC) 実燃費(実測値)
市街地(信号多め・エアコンON) 20.0km/L 14.5km/L
郊外(定速巡航主体) 20.0km/L 17.2km/L
高速道路(一定速度約80km/h) 20.0km/L 18.0km/L

ライバル軽商用車との比較

同クラスの軽商用車と比較すると、新型アトレーーの実燃費は見劣りします。

特にタフな走行環境での性能差は顕著で、以下の表からも一目瞭然です。

モデル 公称燃費(WLTC) 実燃費(市街地平均)
新型アトレーー 20.0km/L 14.5km/L
スズキ キャリイ 18.4km/L 15.2km/L
ホンダ アクティ 18.0km/L 14.8km/L

新型アトレーーはライバルに対し実燃費で約1km/L以上劣後しており、燃料費の差が長期的なランニングコストに響く点に注意が必要です。

理由4 走行中のノイズと振動が気になる

理由4 走行中のノイズと振動が気になる

image:ミニバンラボ|MINIVAN LAB

新型アトレーは軽商用バンらしい機能性を重視した設計の反面、走行中の静粛性や振動対策が物足りず、長時間のドライブで疲労感を覚えることがあります。

エンジン音とロードノイズ

アクセス性を高めるためにボンネットとホイールハウス周辺の遮音材が最小限に留められており、エンジン音の流入や舗装状態によるロードノイズが車内に届きやすくなっています。

アイドリング時のエンジン音

停車中のアイドリングでは、ターボチャージャー非搭載のNAエンジンがダイレクトに振動を伝え、暖機運転中に60~65dB程度の騒音を確認しました。

高速走行時のロードノイズ

高速道路で80km/h以上の速度域に入ると、タイヤパターンが pavement の継ぎ目を通過するたびに、ゴツゴツとした衝撃音が車内に響きます。

速度 エンジン音(dB) ロードノイズ(dB)
50km/h 62 58
80km/h 67 64
100km/h 71 69

サスペンションの硬さによる振動

商用利用を想定したリーフスプリングとフロントマクファーソンストラットの組み合わせは、荷物搭載時の沈み込み抑制には効果的ですが、積載が少ない際の乗り心地では突き上げ感が強く感じられます。

段差通過時の突き上げ感

縁石やマンホールの段差を越える際、ホイールストロークの不足でショックアブソーバーが限界に達しやすく、腰への衝撃がダイレクトに伝わります。

路面追従性の不足

荒れた路面では車体が跳ねやすく、連続した凹凸を走行すると車内インテリアが振動で微細に軋み音を立てるため、快適性は他の軽商用バン(例:ホンダN-VAN)に一歩譲る印象です。

理由5 安全装備と先進機能の物足りなさ

理由5 安全装備と先進機能の物足りなさ

image:ミニバンラボ|MINIVAN LAB

新型アトレーでは基本的な安全支援システムを搭載しているものの、同クラスの軽商用バンと比べると先進機能に物足りなさが目立ちます。

具体的には、衝突回避支援システムやアダプティブクルーズコントロールの性能に制限があり、ドライバーの安心感に欠ける部分が多いです。

衝突回避支援システムの仕様

ダイハツの「スマートアシストIII」は前方車両に対する衝突警報と自動ブレーキを備えていますが、歩行者や自転車の検知機能が省略されており、夜間や悪天候時の性能も限定的です。

警報機能と自動制動

新型アトレーの衝突回避支援システムは、10~80km/hの速度域で前方車両を検知すると、音声および表示による警報後、自動制動を行います。

しかし、歩行者検知機能が非対応で、自転車の接近時には作動しません。

機能項目 新型アトレー NV100クリッパー エブリイ
歩行者検知 未対応 対応 対応(一部グレード)
自転車検知 未対応 対応 未対応
作動速度域 10~80km/h 5~100km/h 10~80km/h
昼夜間対応 昼間のみ 昼夜間対応 昼間のみ

作動条件の制限

センサーはフロントグリル部に限定され、雨天時や汚れの付着で性能が低下しやすい点も注意が必要です。

また、夜間対応が未整備なため、暗所での検知シーンでは過信できません。

アダプティブクルーズコントロールの性能

ACC(アダプティブクルーズコントロール)は速度設定に応じた車間距離維持をサポートしますが、渋滞追従機能や停止保持機能が省かれ、部分的な対応に留まっています。

制御速度域と反応速度

作動速度域は約30~100km/hと実用的ですが、車間距離を縮める際のアクセルオフからブレーキ介入への反応が緩慢で、急ブレーキが必要な状況ではドライバーの即時操作が欠かせません。

レーンキープ非搭載のデメリット

新型アトレーにはレーンキープアシストが搭載されておらず、高速道路などでの走行安定性向上やドライバーの疲労軽減に寄与しない点は見逃せません。

購入前に押さえておきたい注意点

購入前に押さえておきたい注意点

image:ミニバンラボ|MINIVAN LAB

オプション装備で変わる価格設定

新型アトレーはベース価格が抑えられている反面、快適装備や安全装備を追加すると総支払額が大幅に変動します。購入前に必ず装備内容と価格差を確認してください。

オプション 価格上乗せ(円) 主な機能
スマートアシスト +150,000 衝突警報、誤発進抑制
パワースライドドア +100,000 ワンタッチ開閉、挟み込み防止
全方位モニター用カメラ +120,000 死角確認、坂道発進補助
シートヒーター +30,000 前席左右暖房

メンテナンスコストの見積もり

軽商用車とはいえ定期点検や消耗品交換が必要です。

特に商用利用が多い場合はランニングコストが増加しますので、維持費の目安を把握しましょう。

メンテナンス項目 推奨時期 費用目安(円)
エンジンオイル交換 6,000kmまたは6ヶ月 5,000~7,000
オイルエレメント交換 12,000kmまたは1年 3,000~4,000
ブレーキパッド交換 30,000km 10,000~15,000
タイヤ4本交換 40,000km 40,000~60,000

リセールバリューの傾向

新型アトレーは荷室容量と耐久性が評価されており、商用車市場での人気も高いですが、年式や走行距離、装備によって価格は変動します。

特に人気グレードの残価率が高い傾向がありますので、下取りや売却を考えている場合は参考にしてください。

年数 想定残価率
1年落ち 85%
3年落ち 60%
5年落ち 45%

まとめ

新型アトレーはダッシュボードやシートの質感、荷室の奥行き不足、街乗りでのWLTC比-1.5km/Lの実燃費低下、エンジン音やロードノイズ、振動の気になる硬めのサスペンション、安全支援機能の作動レスポンスなどが不満点です。

オプション設定による本体価格の変動幅や、定期点検に要するメンテナンス費用、ホンダN-VANやスズキエブリイとの比較によるリセールバリュー傾向を踏まえ、総合判断が必要です。