日産モコのモデルごとに潜むエンジン・CVTトラブル、加速力不足や横風での安定性、実燃費とカタログ値の乖離、室内の狭さや遮音性の低さなど、走行性能から維持費、中古購入チェックまで網羅的に解説。
購入前に確認すべきポイントを押さえ、後悔しない賢い選び方を提案します。
さらにモデル毎の弱点や修理費用相場、ライバル車との価格・装備比較も紹介し、自分に最適な1台を見つけるための情報を徹底網羅。
日産モコのモデル別特徴と注意点
モデル | 年式 | 主な弱点 |
---|---|---|
初代 | 2002年~2006年 | エンジン出力不足・内装の品質感 |
二代目 | 2006年~2011年 | CVTトラブル・足まわりのヘタリ |
三代目 | 2011年~2016年 | 遮音性の低さ・樹脂部品の劣化 |
初代(2002年~2006年)の弱点
初代モコは軽自動車としては愛らしいデザインと実用性が評価されましたが、搭載される660ccエンジンは街乗りには十分ながら高速走行や坂道発進での加速性能が物足りないと感じるユーザーが多くあります。
また、内装にはコストダウンを図った硬質プラスチックが多用されており、走行中の振動でパネル間のミシミシ音やビビリ音が発生しやすい
さらに、初期ロットではドアシルまわりやフロア下部に腐食が進行しやすいという報告があり、中古車選びでは下廻りの状態チェックが必須です。
二代目(2006年~2011年)の弱点
二代目モデルではエクステリア・インテリアともに質感が向上しましたが、CVT(無段変速機)の制御アップデートにもかかわらず低速走行時のギクシャク感やショックを訴えるオーナーが少なくありません。
また、足まわりは初代よりもやや固めのセッティングとなり、ダンパーやブッシュの劣化が早いと乗り心地が粗く感じられるケースがあります。
加えて、エアコンの冷え不良や電装系の接点不良による異音が発生しやすく、特に高年式・高走行車ではエアコンユニットのコンプレッサー交換が必要になることも念頭に置いておくべきです。
三代目(2011年~2016年)の弱点
三代目ではプラットフォームの刷新やインテリアの質感向上が図られていますが、根本的なパワートレインは先代から継承されており、車速の伸びや高速合流時の追い越し加速に不足感があります。
また、軽量ボディゆえに遮音材が薄く、エンジン音やロードノイズが車内に入り込みやすい点も指摘されています。
外装では樹脂バンパーやドアモールの密着性が弱く、長期間の使用で塗装割れや変色が発生しやすいため、外観の美観を重視するなら状態確認が重要です。
走行性能のデメリット

image:ミニバンラボ|MINIVAN LAB
日産モコは街乗り中心なら扱いやすい軽自動車ですが、走行性能面ではいくつか注意すべきポイントがあります。
特に加速のもたつきや高速道路での安定性は、長距離移動や合流時に不安を感じる場面が少なくありません。
エンジンパワーが控えめで加速が遅い
モコに搭載される660ccエンジンは、軽自動車の規格内で設計されているため、出力に限界があります。
特にターボ非装着モデルでは街中の信号ダッシュや坂道で昼間の合流加速にも物足りなさを感じることがあるでしょう。
エンジン種類 | 最高出力 | 最大トルク |
---|---|---|
自然吸気(NA) | 38kW(52PS)/6,500rpm | 60Nm/3,600rpm |
ターボ | 47kW(64PS)/6,000rpm | 104Nm/3,200rpm |
上表のとおりターボ仕様でも最大出力は64PSに制限されており、他の軽ターボ車に比べると加速レスポンスがやや緩やかです。
CVTとの組み合わせにより燃費は良好ですが、アクセルを踏み込んだ際のエンジン回転上昇が追いつかず、ダイレクト感に欠ける印象を受けることがあります。
高速道路での安定性不足
軽自動車特有のショートホイールベースと背の高いボディ形状は、高速走行時に振動やヨー(横揺れ)を増幅させやすい設計です。
特に80km/h以上の速度域では車体が左右に振られやすく、長時間の高速移動では疲労感が蓄積しやすくなります。
さらにCVTの制御特性から、一定速度維持時にアクセル微調整を行うとエンジン回転数が上下しやすく、微弱な振動としてドライバーに伝わる場合があります。
横風や追い越し加速時の挙動
サービスエリア間やトンネル出口での横風を受けると、ボディがフラッター(細かく揺れる現象)を起こしやすいのが実情です。
大型トラックとのすれ違い直後には一瞬の方向修正が必要となり、慣れていないと不安を覚えるケースも少なくありません。
また、高速道路での追い越し加速ではエンジン回転数が高い領域まで上がるまでにタイムラグがあり、合流車線や片側二車線の追い越し動作で思ったよりも距離を要することがあります。
車線変更のタイミングを誤ると後続車にプレッシャーを与えかねないため、事前にしっかり加速スペースを確保することが重要です。
燃費と維持費の注意点

image:ミニバンラボ|MINIVAN LAB
日産モコは軽自動車ならではの低燃費が魅力ですが、カタログ値と実際の燃費、そして長く乗るうえで発生しやすい維持費を把握しておかないと、想定以上のコストがかかることがあります。
ここでは燃費の実態把握と定期的なメンテナンス費用の注意点を解説します。
カタログ燃費と実燃費の乖離
日産モコ(2WD車)のカタログ燃費はJC08モードで20.0km/L、WLTCモードで約17.0km/Lと公表されています。
しかし、実際には以下の要因で数値が大きく変動します。
- 街乗り中心のストップ&ゴー:実燃費は15km/L前後に低下
- エアコン使用や冬季暖機運転:燃料消費が増加し、12km/L台に落ち込むケースも
- 高速道路走行:一定速度維持で17~18km/Lを保てるが、追い越し加速では燃費が悪化
これらを踏まえ、実燃費を改善するためには
・急加速・急減速の抑制
・定期的な空気圧チェック
・不要な荷物の積載を控える 等の工夫が不可欠です。
修理や車検で費用がかかりやすい箇所
軽自動車とはいえ、長期間乗り続けると消耗品交換や法定点検・車検に伴う費用も積み重なります。
特に日産モコで注意すべき主な交換項目と相場は以下のとおりです。
項目 | 交換時期目安 | 費用相場 |
---|---|---|
CVTフルード | 4万km毎または3年毎 | 2万~3万円 |
ブレーキパッド | 2万~3万km | 1万~1.5万円 |
バッテリー | 2~3年 | 1万~2万円 |
エアコンフィルター | 1年毎 | 5千~1万円 |
車検(法定費用含む) | 2年毎 | 7万~10万円 |
このほか、下回りの防錆処理やサスペンションブッシュの交換も10年を超えると必要になるケースがあります。
また、ガソリン価格の変動や自動車税・重量税の改定も維持費に影響するため、購入前には総合的なコストシミュレーションを行いましょう。
室内空間と快適性の課題
日産モコは軽自動車規格の制約から室内空間と快適性にいくつかの難点があります。
特に日常の使い勝手や長距離移動時に気になるポイントを以下で解説します。
後席と荷室の狭さ
モコの後席は膝前スペースが限られており、身長170cm前後の乗員が着座すると窮屈さを感じやすい設計です。
リアシートを前方にスライドしても最大で約200mm程度しか余裕がないため、長時間の乗車では疲労が蓄積しやすくなります。
また、荷室容量はリアシート使用時で約120Lと軽自動車としても控えめです。
収納スペースが限られるため、買い物の際に大きめの荷物や旅行バッグを積む場合はリアシートを倒す必要がありますが、その際にもフロア高が高く、フラットになりにくい点が実用性を下げています。
サスペンションの硬さによる乗り心地の悪さ
モコは軽量ボディを支えるために比較的硬めのサスペンションセッティングが採用されています。
街乗りでは段差を通過するたびに衝撃がダイレクトに伝わり、シートクッションだけでは吸収しきれずに乗り心地が悪化しやすいです。
特に舗装の劣化が進んだ道路や縁石乗り上げ時には、突き上げ感が強くため子供や高齢者には負担がかかることがあります。
遮音性の低さによる車内騒音
軽自動車規格の薄いボディパネルや簡易的なシーリング構造により、エンジン音やロードノイズ、風切り音が車内に侵入しやすいのがモコの特徴です。
特に高速道路走行時は騒音レベルが高まり、会話や音楽を楽しむ際に気になることがあります。
走行状況 | 車内騒音(目安) |
---|---|
アイドリング時 | 約45dB |
市街地走行(約40km/h) | 約55dB |
高速走行(約80km/h) | 約65dB |
このように、静粛性を重視するユーザーには長時間ドライブ時の疲労を感じやすい点は大きなデメリットと言えます。
中古車購入時のチェックポイント

image:ミニバンラボ|MINIVAN LAB
錆や腐食が目立つ箇所
日産モコは軽自動車ゆえに薄い鋼板を採用しており、下廻りやドア内部の錆が進行しやすい点に注意が必要です。
部位 | 具体的なチェック内容 |
---|---|
フロア下部 | 車体中央部のマット下をめくり、フレームやシーラー部の膨らみ・剥離を確認 |
ドア下部(ゴムモール周辺) | ゴムモールを持ち上げて内部に発生した赤茶色の錆の有無をチェック |
ホイールハウス内側 | タイヤを最大に切り、インナーカバー奥の腐食による穴あきがないか確認 |
マフラー・排気系 | マフラー接合部やサイレンサー全体における穴あきや排気漏れの有無を視認 |
リアフェンダー | ホイールアーチ内側の塩カル噴霧跡と、パテ補修の跡がないかをチェック |
CVTトラブルやエンジン異音の確認
日産モコに搭載されるCVTはトラブルが発生すると高額修理につながるため、下記のポイントを必ず試乗時に確認しましょう。
- エンジン始動直後のアイドリング:振動や異音の有無を耳を澄ませてチェック
- シフトチェンジ挙動:発進・加速時に“ジャダー”や“もたつき”がないかを注視
- アクセルオフ時のエンジン音:減速時にガラガラ音や打音が聞こえないか確認
- オイル漏れチェック:エンジンルーム下やCVTケース周辺に濡れや滴下痕跡がないか視察
- 走行距離との整合性:ダッシュボードのメーター表示と整備手帳の記録が一致しているか確認
過去の修理履歴とメンテナンス状況
信頼できる販売店や個人売買であっても、必ず車両の履歴を詳細に把握し、交換部品や定期点検の状況を確認しましょう。
書類・記録 | 確認すべきポイント |
---|---|
整備手帳・点検記録簿 | 車検毎の消耗品交換履歴(ブレーキパッド、バッテリー、ワイパーなど)が記載されているか |
修復歴証明書 | 事故や骨格部分の修理歴がある場合、フレーム修正の証明があるかどうか |
保証書(ディーラー保証・民間保証) | 販売店付帯の保証範囲・残存期間を確認し、CVTユニットやエンジン部品がカバーされているか |
オイル交換記録 | 指定交換時期通りにエンジンオイルとCVTフルードが交換されているか |
過去整備工場の履歴 | 専門ディーラーか整備工場での作業か、改造や社外品取付履歴がないか |
競合車種と比較したデメリット

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スズキ ワゴンRとの価格と装備差
日産モコは同じ軽自動車カテゴリーのスズキ ワゴンRと比べると、販売終了後の中古車相場や標準装備においていくつか注意点があります。
比較項目 | 日産モコ | スズキ ワゴンR |
---|---|---|
中古価格相場 | 約80万~130万円 | 約70万~120万円 |
燃費(WLTCモード) | 約18.0km/L | 約25.0km/L(マイルドハイブリッド搭載車) |
ハイブリッドシステム | なし | マイルドハイブリッド(一部グレード標準) |
衝突被害軽減ブレーキ | オプション設定のみ | 上位グレードで標準装備 |
このように、燃費性能や安全装備はワゴンRに分があるため、同等の価格帯でもモコは装備のアップグレードに追加コストがかかるケースがあります。
ダイハツ ムーヴやホンダ N-WGNとの性能比較
エンジン・走行性能の比較
モコの搭載エンジン(0.66L NA)は最大出力〈約52PS/6,400rpm〉と控えめで、高回転域に入ると加速がやや鈍ります。
一方、ムーヴのターボ車は〈約64PS/6,400rpm〉、N-WGNのターボモデルは〈64PS/6,000rpm〉を発揮し、発進加速や追い越し時の余裕が異なるため、モコでは高速道路での合流や追い越しが不安に感じる場面があります。
燃費性能の比較
市街地メインの実燃費では、モコが約13~15km/Lであるのに対し、ムーヴ(ターボなしモデル)は約17~19km/L、N-WGN(NAモデル)は約16~18km/Lをマークします。
特に、実燃費で2km/L以上の差が出ることが多いため、ランニングコスト重視のユーザーにはモコの維持費が割高に映る可能性があります。
室内空間の広さの比較
全長・全幅はほぼ同等ながら、室内高と後席の足元スペースには差があります。
ムーヴは全高が高く後席ヘッドクリアランスに余裕があり、N-WGNは荷室奥行きや開口部の取り回しに優れています。
日産モコはシートレール位置がやや高めの設計で、後席と荷室の実用性で若干狭さを感じやすいため、荷物の積載頻度が高い方は事前にサイズ確認が欠かせません。
まとめ
日産モコはコンパクトで使い勝手の良い軽トールワゴンですが、エンジン出力の控えめさや高速安定性の課題、室内騒音、実燃費の低下、サスペンション硬さによる乗り心地、CVTトラブルのリスクなど多くの弱点があります。
中古購入時は特に整備記録や錆の有無を厳しく確認し、同クラスのスズキワゴンRやダイハツムーヴと比較検討することが後悔を防ぐポイントです。
ホンダN-WGNも視野に入れ、価格や装備の違いを比較することが大切です。